宝物


「宝物」 20:55

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5/7 日本武道館、最終日

遅くも早くもなく起きた朝、『I WISH』フルバージョンのPVを見てひと波きてしまう。


「神奈川県出身、石川梨華!」

初々しい声を頭に響かせながら、いつもの春セットリスト順に聴き景色をぼーっと見つつ武道館に向かうべく神奈川を後にする。

飯田橋から歩こうと思ったけれど、用事があって九段下から歩く。少しでもと思って一番遠い出口から。


よく晴れて、いい天気だ。

ゆらゆらと流れる大きな牛ヶ淵が目に入る。

武道館に入り門を潜った辺りから、ツアーの機材搬入トラックが奥に停まっているのが見える。

この2台のトラックとの旅も今日で終わりなのだ、と歩いていると、早速後ろから某腰さんに声を掛けられる。

そして皆の集まる場へ移動。


Ca+Tシャツに思い思いのコメントを落書き寄せ書きしたり、

ピンクの18Tシャツを着た紺ヲタが1列に並んで横断幕広げたり、

他愛もない会話に、昼公演は始まる。


席は、ステージの端から端まで誰の頭に隠れることもない、見渡しのいい2階南西。

通路側の席でも、階段のせいで足場は良くない。

昨日に引き続いて、新メンバー紹介の代わりに無くなってしまったメンバー毎のMCを複雑にも思いながら。

しかし、新陳代謝という言葉を盾にして楽しい汗が滝のように出てくる。


こうして気持ちの良い汗をかくことが、彼女たちを感じて笑ったり何だりすることが日課となっていた日々。

思えば最初は2ヶ月も前の話だった。金や時間を減らして見た物は、あまりにも大きく膨らんでいた。


『独占欲』の後、モニタに映し出された「5.6−7 TOKYO」の文字。

いよいよ最終日であることが心に打ち付けられる。


ライブ中、北区さんに協力してもらって少し広く使えたりもして。

・・本当に楽しかった。またしてもあっという間の公演だった。




昼公演が終わり、昼下がりから夕方へと変わっていく。

皆が集まる場でのいつもの戯れも、緊張感を帯びた準備への空気へと変わる。

入場前に皆で集まって「エイエイオー」。

もう本当に本当に最後なんだと感じる。






もう戻って来ない1秒1秒を噛み締めながら、最後の1枚のチケットの半券を切る。

暑く熱い場内。

席は南スタンド2階。席に着くと蘇って来るこのツアーの思い出。

隣の席は決していい人ではなかった。だが見知らぬ人に宜しくと握手する。



梨華ちゃんモーニング娘。として最後の公演は始まる。

最初の1曲『マンパワー』。堪え切る事は出来なかった。

それでも何とか目に焼き付けようと霞み見えたガキさんの目もまた涙で溢れていた。


浪漫〜My Dear Boy〜』イントロが流れると、沢山のあの頃の思い出が蘇ってくる。

メンバー達も石川さんと一緒に歌うことは最後。その歌一つ一つを精一杯歌い切る。メンバーも石川さんも。

歌う声にも力が入るのは石川さんよりもメンバーだったろうか。

僕もただ精一杯に受け止めようと。胸の奥をキュッと絞めないと泣き出しそうだった。振りにも力が入った。

DANCEするのだ!』の本当にいい歌詞に手を振り切って。『、、、好きだよ!』のサンバステップも石川さんと共に楽しんで。


そして『I WISH』。

どうしてなんだろう・・何度も何度も見たI WISHに堪えられない。

メンバーの作った花道を、笑顔で過ぎる石川さん。

ぼやけてはっきり見えなかったけれど、僕には石川さんが笑顔で居たように見えた。

最高の笑顔だったように見えた。


曲が終わって会場の照明が暗転する。

間も無くピンク色の光が会場を埋めてゆく。会場に一杯になったピンク色。どこを見てもそうだ。

一色で埋め尽くされたピンク色に、いっぱいの気持ちと涙が溢れる。

ステージに出てきて涙ぐむ石川さんに、おめでとう と心の中で強く交わす。



石川さんが初めて書いた手紙を読む。すごく伝わってくる。

タンポポ加入。ネガティブだった石川さん。ポジティブ石川の誕生。

振り返ってゆく、始めてきいた梨華ちゃんの言葉。

「以上、モーニング娘。石川梨華でした!」

その言葉が心に響く。



『初めてのハッピーバースデー!』

石川さんの1曲の選曲。思えばこの曲がステージで聴いた最初の石川さんの曲だったかも知れない。

じわじわと思い出されてくるあの緊張した表情と、今こうしてドレスを着て卒業式で歌う成長した石川さんを重ねて、

モーニング娘。を卒業するこの日、元気な笑顔で卒業してゆく彼女が見せた強さが成長の証なのかも知れません。


そしてメンバーから石川さんへの祝いのコメント。

メンバーの一人ひとりが石川さんに伝えるコメントのひとつひとつが心に染みて涙が止まらない。

いつもありがとう、感謝しかっこいい先輩だったと。


ザ☆ピ〜ス!

力強い「ピース行進」の足踏み。強く手を振り上げる。最後に1つになって歌う。メンバーも会場も。

石川さんのモーニング娘。としてのエンディングロールが見える。

ぐしゃぐしゃになりながらも、その会場を包む黄色い光を頭に目に焼き付ける。


最後に同期であり最高のパートナー、吉澤ひとみと手をとり会場を走る。

本当に本当に最高の卒業式でした。


石川梨華さん、モーニング娘。卒業おめでとう。

石川さんがモーニング娘。に居てくれて本当に良かった。

今日は、最高のハッピーバースデー。